一般皮膚科

GENERAL

ニキビ

ニキビとは?

ニキビ(ざ瘡)は誰もが一生に一度はかかる皮膚の疾患です。ざ瘡は自然に治ったりすることが多いため疾患というより生理的な皮膚変化としてとらえている人が多いようですそのため意外にも医療機関を積極的に受診する方は少ないと思われます。 実際にニキビを治療しようとして医療機関を受診しようとする方はニキビ患者全体の1割という報告があります。もちろん軽症だから受診するまでもないという方もいれば、治療が必要だけど放置している人もすくなくありません。ニキビを放置しておくとニキビあとになり、最終的にざ瘡瘢痕といって皮膚がくぼんでそのままの状態になってしまう事があるため早め早めの治療が必要です。 ① ニキビの始まり 微小面皰ともいいます。目に見えない小さな毛穴のつまりの事をいいます。 ② 炎症の無いニキビ 毛穴がつまって、微小面皰より大きくなってきた状態の事を言います。白ニキビと黒ニキビがあります。 ③ 炎症を生じたニキビ 毛穴の中でアクネ菌が増殖し炎症を起こした状態です。赤ニキビや黄ニキビがあります。 ④ 炎症後の赤み 炎症が落ち着いて炎症後の色素沈着の状態です。時間がたつと徐々に治ります。 ⑤ ニキビあと ニキビをつぶした後とかにできてしまう皮膚のでこぼこした状態です。一度できてしまうとなかなか治りません。

疾患の原因

男性ホルモンの増加
ニキビは思春期に性ホルモンが急激に増える事で発症します。特に男性ホルモンが増えると皮脂が増える事がわかっています。脂性肌になることでニキビ菌が繁殖しやすい環境が整ってしまいニキビができてしまいます。
毛穴がつまりやすくなる
男性ホルモンの一種であるアンドロゲンというホルモンが増加することにより角化傾向が強まります。角化とは毛穴がつまることを言います。
ニキビ菌の増加
もともと毛穴の毛包漏斗部というところは角質がつまりやすい部位です。さらに男性ホルモンの増加などにより毛穴がつまりやすくなり毛包内にニキビ菌が繁殖しやすい環境が整ってしまいます。
紫外線の関与
紫外線を浴びると皮膚には活性酸素という老化の原因となる物質がつくられ、それにより毛穴が炎症を起こしやすくなります。また皮脂が紫外線に暴露されると毛穴がつまりやすくなる事もわかっています。

治療方法

ニキビの治療方法
保険診療で処方される外用剤には大きくわけて3つあります。一つは昔から処方されてきた①抗菌剤です。これは抗菌作用と抗炎症作用があり、以前よりニキビに対し使用されてきた薬剤ですが、正直なところなかなか効果があまりみられませんでした。そこで10年ほど前から②過酸化ベンゾイルと ③アダパレンゲルの2つが登場し、ニキビ治療も大きく変わってきました。この2つの薬剤は抗菌外用剤とは異なり、「毛穴のつまり」を除去してくれます。つまりニキビ菌への効果よりも毛穴のつまりを除去してくれる事で初期のニキビである面皰を治す事ができます。炎症を起こす前のニキビであるニキビ予備軍を早めに治し、かつ治ってからも外用することで予防もできるようになったわけです。ニキビ治療はこれら2つの薬剤の出現で飛躍的に進歩しました。 ➀抗菌剤・・・ニキビだけにポイントで外用します。外用剤の刺激症状はなく、かぶれることもありません。しかし効果が弱いのが難点です。 ②過酸化ベンゾイル・・・抗菌作用と毛穴のつまりをとるピーリング作用を併せ持ちます。ニキビができそうな部位に広めに外用します。顔全体に塗布することが一般的で、ニキビが治ってからも外用を継続することで新たににきびができるのを防ぎます。赤み、ひりひり、皮むけなどの刺激症状が10人中3人にみられますが、外用を継続することでだんだん減っていきます。100人中3人にかぶれを起こす人がいます。その場合は中止せざるをえません。 ③アダパレンゲル・・・毛穴のつまりをとるピーリング作用があります。ニキビができそうな部位に広めに外用します。顔全体に塗布することが一般的で、過酸化ベンゾイル同様ニキビが治ってからも外用を継続することで新たににきびができるのを防ぐことができます。赤み、ひりひり、皮むけなどの刺激症状が10人中3人にみられますが、外用を継続することでだんだん減っていきます。かぶれを起こす人はめったにいないようです。 過酸化ベンゾイルとアダパレンゲルの合剤も処方できます。抗菌作用とピーリング作用を併せ持っているため刺激症状のない方には使用が可能となります。強力なニキビ発症抑制効果、ニキビ痕の赤みを抑えていく作用もあるためこの外用剤の登場以降、当院ではピーリング(自費)をおすすめすることは減ってきました。

日常の注意点

適切な洗顔とスキンケアルーティンの確立
ニキビを予防するためには、適切な洗顔とスキンケアの習慣を確立することが重要です。洗顔は毎日行い、肌に適した洗顔料を使用し、やさしくマッサージするように心がけましょう。また、適切な保湿や保護をすることも大切です。ただし、過剰な洗顔やスキンケアは逆効果になることもあるので、適度なケアを心掛けましょう。
食生活の見直し
ニキビの発生には食生活も関与しています。バランスの取れた食事を心がけ、栄養豊富な食品を摂取しましょう。特に、ビタミンAやE、亜鉛、オメガ-3脂肪酸を含む食品は、肌の健康に良い影響を与える可能性があります。また、過度な甘い飲み物や加工食品、脂っこい食事の摂取を控えることも大切です。
顔の触りすぎを避ける
ニキビを悪化させる一因として、顔を触ることが挙げられます。手は日常的にさまざまな物に触れるため、細菌や汚れが付着している可能性があります。顔を触ることでそれらの汚れや細菌を広げ、炎症を引き起こすリスクが高まります。できるだけ顔を触らないようにし、特にニキビがある部分を掻きむしることは避けましょう。

よくあるご質問

Q

ニキビ発症と関連のある食べ物ってありますか?

現在のところニキビ発症の原因となる食べ物は明らかになっていないと言われてます。昔からチョコレートやナッツ、油っこい食べ物はニキビができやすくなると言われてきましたが、これについて明らかになった報告はありません。ただ最近は糖質摂取がにきび発症に関与しているのではないかと報告されています。糖質、その中でもGI値が高いお菓子などはAGE(終末糖化産物)を増加させそれが肌の修復を遅らせニキビの発症を促したり、ニキビの治癒を遅らせたりしているのではと推測されています。肥満を予防する意味でも過剰な糖質摂取は控えたほうが良いようですね。

Q

ニキビってなぜ、できるんですか?

まず毛穴がつまりやすくなって、そこに皮脂が増えて、ニキビ菌が増殖するとできます。男性ホルモン(アンドロゲン)が増加すると皮脂が増える事がわかっているので思春期にさしかかる小学校高学年、もしくは中学生はニキビができやすくなります。つまり思春期にある方々はどんなにきれいに洗顔をしたとしても、また規則正しい生活をしたとしても、肌においてはニキビができやすい環境にある事はくつがえせません。ニキビの治療、もしくは予防を思春期が通り過ぎる一定期間継続していく必要があります。

Q

ニキビの薬を塗っていますが、なかなか思ったように治りません。あるいは、一回治ってもまた出てきます。なぜでしょうか?

ニキビは思春期の間は繰り返すものです。継続した治療が必要です。治ったらすぐ外用をやめてませんか?治ったとしても油断せず外用を継続してみてください。あと外用薬についてですが過酸化ベンゾイル、もしくはアダパレンゲルはニキビだけに塗るのではなくニキビができやすい部位、例えば額なら額全体、頬なら頬全体、あごならあご全体など点々ではなく面で外用してください。面で外用する事によりニキビだけではなく毛穴のつまりをきれいにし、今後のニキビ、ニキビあとの発症を防いでくれます。正常と思われる部位にも毛穴つまりはひそんでいるので面で全体に外用しましょう。

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