肝斑の原因としては、下記が関与していると言われています。
①紫外線の暴露
②女性ホルモン
つまり妊娠して、日焼け止め塗らずに野外スポーツとかしていると肝斑が出現してしまうかもしれないということです。
私見としては、30~40歳以降の女性には程度の差はあれ、少なからず肝斑は存在しているのかなと思ったりしてます。女性ホルモンが一気に増えていく状態、つまり妊娠だったり、経口避妊薬の内服、さらには化粧、洗顔のし過ぎ、こすり過ぎなどをきっかけに増悪していくのではないかなとか考えたりしてます。
また肝斑の部分の皮膚を詳しく解析した結果によると
①紫外線により真皮が変性してしまっている所見がみられたこと
②表皮メラノサイトというメラニン(シミの成分)をつくる工場みたいな細胞が活性化していること
がわかっています。これらの事からも肝斑は紫外線が誘因にもなるし、増悪因子にもなるということがわかっています。
肝斑の原因は紫外線や女性ホルモンが考えられています。女性ホルモンは女性にとって大事なホルモンなわけで除去するわけにいきません。となると紫外線を避ける事が治療の第一歩になります。日焼け止めは副作用も少ないため肝斑の予防としてはどんな人でも使用する事ができます。
肝斑の患者さまの肌を拡大鏡で観察すると角層のキメがみられずつるつるになっている事が多いです。つまり化粧や洗顔で顔をこすり過ぎている事が考えられるわけです。「肝斑は顔のこすり過ぎによるバリア破壊が原因だ」と言っている先生もいるくらい、顔のこすりすぎと肝斑は密接に関連しています。肝斑の治療を行っていくうえで顔をこすり過ぎない、洗い過ぎないことは最も大事な事なのです。
抗プラスミン作用を有するお薬です。
皮膚の表皮は紫外線を浴びるとメラニン(色素のもと)が増えていくように働きますが、このトラネキサム酸を内服することでメラニンの産生を抑制する働きがあります。肝斑や炎症後色素沈着に対して長期的に内服する事で効果を発揮します。
ハイドロキノンとは通称美白剤と称される成分のこと。ハイドロキノンの作用としてはメラニン(シミの成分)を合成するのを抑えます。人の皮膚は加齢や紫外線暴露により徐々に肌のメラニンが合成され、そして沈着することでシミができてしまいます。ハイドロキノンはそのメラニンの合成を防いでくれるわけです。
「じゃあ現在皮膚に存在しているメラニンはどうなるの?合成を防ぐだけならシミって消えないんじゃない?」という鋭い疑問がうかんだ方、お答えします。人の皮膚はターンオーバーという機能が備わっており古くなった皮膚は角質へと上に押しやられ新しい皮膚に入れ替わっていく、これを日々少しづつ行っています。このターンオーバー機能が正常であれば皮膚のみずみずしさを常に保つことができるわけです。しかし加齢によりそのターンオーバー機能は段々鈍くなっていきます。「年々傷の治りが悪くなった。」「昔に比べてにきび痕の治りが悪くなった」ということをよく患者さんから拝聴します。これらは残念なことにこのターンオーバーが昔に比べてゆっくりになってしまったことを意味します。
話をもとに戻すとハイドロキノンを使用する事でシミが薄くなる理由としてはメラニンの合成を抑制し、さらに皮膚のターンオーバーによって現在あるメラニンが排出される、その事で初めてシミが消えていくわけです。理論上は3ヶ月で人の表皮は入れ替わるので、最低3ヶ月間の使用をお勧めしております。
<まずは診察予約をお取りください>
肝斑を治したいという主訴で来院されるゲストの方のお顔を拝見すると肝斑以外にもシミやソバカスなど肝斑以外の病変も混在していることがほとんどです。シミの項目でも記載してますが肝斑だけとか、シミだけとかのケースはほとんどないようです。
「この部分は肝斑なのでレーザーは照射せずスキンケアやハイドロキノンの外用で改善させます。しかし一部は肝斑とシミが重なって存在しているところもあるので、その部分はあえてレーザーを照射し、その後でスキンケアやハイドロキノンの外用で経過をみましょう。」などの説明を施術前にしっかり行うようにしております。
また肝斑に対してシミとりレーザーのような強い出力のレーザーを照射することは一般的にやってはいけません。なぜなら照射後必ず炎症後の色素沈着になるからです。レーザーを照射すると真っ黒になります。ですからシミと肝斑が重なって存在している場合が治療を行う上でやっかいなのです。シミに対してシミとりレーザーをあてたいけど、肝斑にもレーザーがあたるので必ず炎症後の色素沈着になってしまうからです。ではこのような場合、どのようにして治療するのでしょうか?
以前は以下の方法が主流でした。
まずスキンケアやハイドロキノンの外用を行う事で肝斑を軽減させ、その後シミとりレーザーを行います。そうする事でPIHが軽くてすむメリットがありました。しかしこの方法だとシミとりレーザーを行うまでに3ヶ月程度の時間を要し、ゲストの方の治療へのモチベーションが下がってしまうというデメリットがあります。
最近では肝斑の治療はおいといて先にシミとりレーザーを行います。そうする事で、まず目立つシミをすっきりさせてゲストの方のモチベーションアップをはかります。ただし肝斑が完全には落ち着いてない段階でシミとりレーザーをあてますので、必ず炎症後の色素沈着が発生します。そこからスキンケアの改善、ハイドロキノンの外用を徹底させる事で徐々に全体の色素をおさえてトーンアップを行っていきます。当院では後者の方法をとることが多いです。
肝斑をひどくしてしまうきっかけとしては
①妊娠
②経口避妊薬
③更年期ホルモン補充療法
④紫外線暴露
⑤化粧のし過ぎ、こすり過ぎ
上記の中で①~③はどうしても避けることができない事だったりします。④⑤については日焼け止め塗ったり、正しい洗顔、メイクアップ法でなんとか対応することができます。ですから肝斑の治療の第一歩は
①日焼け止めの徹底
②化粧や、洗顔で顔をこすり過ぎない
という事から始まるのです。