発症年齢は第二次性徴がみられる小学校から中学校に進学するころであり、この時期に出現するざ瘡を思春期ざ瘡と言います。男女差は特にみられませんが女性に早くみられます。女性は男性よりも性成熟が早いことが考えられます。その後18歳以降にみられるざ瘡を思春期後ざ瘡と言います。思春期後ざ瘡は女性に多くみられます。
皮脂がでやすい部位にできやすいです。顔、首、胸、背中、二の腕の外側によくできます。年齢によってもニキビの発症する部位は変化します。小学校高学年~中学生は80%がおでこにできます。高校生になると額のニキビは減って、頬にみられ、20代以降の年齢になると顎にみられます。年齢が上がるにつれてニキビの発症部位は下の方に下がってくる傾向があるようです。
余談ですが20~30代女性のニキビ患者さんから「生理前になると顎周辺のにきびがひどくなります。」とよく言われます。これについての正しい原因は現在のところはっきりわかっておりません。月経前のホルモンバランスの変化が関与していると考えられているようです。
①男性ホルモンの増加
ニキビは思春期に性ホルモンが急激に増える事で発症します。特に男性ホルモンが増えると皮脂が増える事がわかっています。脂性肌になることでニキビ菌が繁殖しやすい環境が整ってしまいニキビができてしまいます。
②毛穴がつまりやすくなる
男性ホルモンの一種であるアンドロゲンというホルモンが増加することにより角化傾向が強まります。角化とは毛穴がつまることを言います。
③ニキビ菌の増加
もともと毛穴の毛包漏斗部というところは角質がつまりやすい部位です。さらに男性ホルモンの増加などにより毛穴がつまりやすくなり毛包内にニキビ菌が繁殖しやすい環境が整ってしまいます。
④紫外線の関与
紫外線を浴びると皮膚には活性酸素という老化の原因となる物質がつくられ、それにより毛穴が炎症を起こしやすくなります。また皮脂が紫外線に暴露されると毛穴がつまりやすくなる事もわかっています。
ニキビの症状は以下の5段階に分けられます。
毛穴の中でアクネ菌が増殖し炎症を起こした状態です。赤ニキビや黄ニキビがあります。
炎症が落ち着いて炎症後の色素沈着の状態です。時間がたつと徐々に治ります。
ニキビをつぶした後とかにできてしまう皮膚のでこぼこした状態です。一度できてしまうとなかなか治りません。
保険診療で処方される外用剤には大きくわけて3つあります。一つは昔から処方されてきた①抗菌剤です。これは抗菌作用と抗炎症作用があり、以前よりニキビに対し使用されてきた薬剤ですが、正直なところなかなか効果があまりみられませんでした。そこで10年ほど前から②過酸化ベンゾイルと ③アダパレンゲルの2つが登場し、ニキビ治療も大きく変わってきました。この2つの薬剤は抗菌外用剤とは異なり、「毛穴のつまり」を除去してくれます。つまりニキビ菌への効果よりも毛穴のつまりを除去してくれる事で初期のニキビである面皰を治す事ができます。炎症を起こす前のニキビであるニキビ予備軍を早めに治し、かつ治ってからも外用することで予防もできるようになったわけです。ニキビ治療はこれら2つの薬剤の出現で飛躍的に進歩しました。
➀抗菌剤・・・ニキビだけにポイントで外用します。外用剤の刺激症状はなく、かぶれることもありません。しかし効果が弱いのが難点です。
②過酸化ベンゾイル・・・抗菌作用と毛穴のつまりをとるピーリング作用を併せ持ちます。ニキビができそうな部位に広めに外用します。顔全体に塗布することが一般的で、ニキビが治ってからも外用を継続することで新たににきびができるのを防ぎます。赤み、ひりひり、皮むけなどの刺激症状が10人中3人にみられますが、外用を継続することでだんだん減っていきます。100人中3人にかぶれを起こす人がいます。その場合は中止せざるをえません。
③アダパレンゲル・・・毛穴のつまりをとるピーリング作用があります。ニキビができそうな部位に広めに外用します。顔全体に塗布することが一般的で、過酸化ベンゾイル同様ニキビが治ってからも外用を継続することで新たににきびができるのを防ぐことができます。赤み、ひりひり、皮むけなどの刺激症状が10人中3人にみられますが、外用を継続することでだんだん減っていきます。かぶれを起こす人はめったにいないようです。
過酸化ベンゾイルとアダパレンゲルの合剤も処方できます。抗菌作用とピーリング作用を併せ持っているため刺激症状のない方には使用が可能となります。強力なニキビ発症抑制効果、ニキビ痕の赤みを抑えていく作用もあるためこの外用剤の登場以降、当院ではピーリング(自費)をおすすめすることは減ってきました。
当院ではニキビに対しての自費診療としてピーリングを行う事があります。
保険診療による治療で効果があまりみられない方にはおすすめする事がありますが、当院の治療方針としてはまずは保険診療より開始します。ほとんどの方が保険診療で落ち着いていきますので最近ではピーリングをする機会はほとんど減ってきました。
マッサージピールとはトリクロロ酢酸を中心とした薬剤を皮膚に塗布し、やさしくマッサージする施術です。
マッサージピールで使用する薬剤にはトリクロロ酢酸、低濃度過酸化水素、コウジ酸が含まれます。
効果としてはトリクロロ酢酸によるコラーゲン増生作用による肌のハリと過酸化水素のピーリング作用による毛穴つまりの除去が期待できます。
施術時間は15分程度です。
ダウンタイムの程度としては軽くて赤みや皮むけがみられる人がいます。赤みは1-2時間で、皮むけについては数日でおさまります。
施術後お肌に異常がなければ治療当日より洗顔やメイクが可能です。治療後はUVケアや保湿は必ず行うようにしてください。
ゼオスキンの高濃度レチノールアイテム、トレチノイン、にきび治療薬の過酸化ベンゾイルを使用している方は治療前後2週間の使用をお控えください。
施術間隔:1か月に1~2回を目安にし、トータル5回の施術をおすすめしております。
①施術後、一時的に赤くなったり、しみが濃くなったように見えることがありますが心配ありません。通常3~4日、人によっては1週間程度でおさまります。
②施術後、紫外線に敏感になっています。当日よりお化粧をできますが、使い慣れた日焼け止め、ファンデーションなどで肌を外的刺激から守ってください。
③しばらくの間は古くなった角質がボロボロむけてくることがあります。肌の乾燥を防ぐため保湿剤をしっかり塗ってください。無理にこすったり、はぎ取ったりしないようにしてください。